Inspired by the burr holes
of a combined transpetrosal approach
with retrosigmoid extension

線画の頭部のシルエットに、ピンク色の脳や黒い線の神経や脳の中の構造が描かれているアート作品

一羽一念

One Crane One Mind

Training not only the hands, but the spirit
— the Path I walk, the Way I live.

For every patient I will serve, a prayer in every fold.

No.00001–00060

4 cm 角 折り紙

折り紙の鶴の折り紙作品、青色、緑色の格子模様の背景に置かれている

No.00061–00123

2 cm 角 折り紙

緑の格子模様の背景に折り紙で折ったオレンジ色のカマキリの形

No.00124–  

1 cm 角 折り紙

ピンク色の小さな動物の死骸が格子状の緑の土台の上に横たわっている
白い球状の物体と細工用のピンセットが置かれた木製のテーブルの上の画像

発泡スチロール半球

(術野をイメージした深さ3cmの窪み付き)

手術室の手術台に置かれたドーム型の人工頭蓋と、上に取り付けられた医療用顕微鏡やカメラ装置

マイクロ顕微鏡と
発泡スチロール

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臣之所好者道也、進乎技矣。

(臣の好む所は道なり、技に進めり。)

―― 『荘子・養生主』庖丁

包丁の語源となった逸話の一説です.

庖丁(ほうてい)は牛を解体することを生業とする料理人であり,その捌きは筋や骨の間を自然にすり抜け,ほとんど刃こぼれすることなく数十年も同じ包丁を使い続けられるほどの境地に達していました.

あるとき,文恵君という王の前で牛を解体して見せたところ,その技の美しさに王は驚き,「ああ,技術はここまで極まるものなのか」と嘆じました.すると庖丁はこう答えました.
――「わたくしの好むところは道であって技術ではありません」と.

1cm角の折り紙で折り鶴を折るという行為が,脳神経外科的なテクニックと直結するかどうかはわかりませんし,それは本質的には重要ではありません.大切なのは,折ることそのものが私の「道」であるという点です.

折り鶴を折るトレーニング方法を選択したのも,一日一羽折ると決めたのも,絶やさず折り続けるのも,さらには窪んだ発泡スチロールを頭蓋に見立てる創意工夫を凝らすのも,すべてが私の生き方であり,「道」であり,私自身なのです.

學問とは、道の修行にて、藝術のみの修行にてはこれなき義、もちろんに候うこと,

(学問とは道の修行であって,技能のみの修行ではないのはもちろんのことで,)

―― 橋本左内『藩校明道館における布令原案』

ロボットやAIが進化し続け,医師の仕事の多くがそれらに取って代わられる未来は,そう遠くないうちに訪れるでしょう.

そんな過渡期に医師を志す私たちは,いかにして自らのアイデンティティを保つのか.平和の世にあってもなお己の「道」を模索し続けた江戸時代の武士たちの姿と重ね合わせずにはいられません.

Noblesse Oblige (高貴な身分に伴う道徳的義務)という言葉がありますが,患者さまの生死を一身に託され,それを救うことのできる医師という職業において,自己完結的に最上級の矜持を抱き(もちろん職業に貴賎はありません),何某にも劣らじという気概を振るわなくてはなりません.

この姿勢は決してegoism(利己主義)ではなく,むしろ,己を修め,その姿勢によって他者を感化し得るという意味でのegotism(自己陶酔)です.

私を形作るすべての要素は,患者さまが命を託すその瞬間にこそ評価されます.ゆえに私が「道」を求め続けることこそが,患者さまの不安を拭い,救うことにつながるのです.

いつか出会うすべての患者様に祈りを込めて,一切の自己欺瞞を許さず今日も明日も折り続けます.

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直近の七羽